
こんにちは。賃貸トラブル解決ナビ、宅地建物取引士の熊坂です。
賃貸経営を始めようとしているオーナー様や、すでに物件をお持ちの方の中には、「賃貸管理会社とは具体的にどのような業務を行っているのか」「仲介会社との違いがよく分からない」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。不動産投資において、物件の管理は収益を左右する最も重要な要素の一つです。適切な管理会社を選ぶことは、空室リスクを減らし、安定した家賃収入を得るための必須条件と言えます。また、昨今ではサブリース契約に関するトラブルや法改正など、知っておくべき知識も増えています。この記事では、現役の宅建士である私が、管理会社の役割や業務内容、選び方のポイント、そしてトラブルを未然に防ぐための知識について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
- 賃貸管理会社の具体的な業務内容と仲介会社との決定的な違い
- 一般管理とサブリース契約のメリット・デメリットおよびリスク
- 優良な管理会社を見極めるための具体的なチェックポイント
- 管理会社を変更する際の手順とトラブル回避のテクニック
賃貸管理会社とは何か?役割や仲介会社との違い
不動産経営において「誰をパートナーにするか」は、物件の立地と同じくらい重要な要素です。ここでは、賃貸経営の根幹を支える管理会社の役割や、混同されがちな仲介会社との違い、さらには法的な規制について、基礎から実務レベルまで掘り下げて解説していきます。
賃貸管理会社の主な業務内容と仕事の範囲

賃貸管理会社とは、一言で言えば「オーナー様に代わって賃貸経営の実務を代行するプロフェッショナル」です。しかし、その業務範囲は皆さんが想像するよりもはるかに多岐にわたります。私が現場で見てきた経験から申し上げますと、優秀な管理会社は単なる「代行屋」ではなく、物件の資産価値を守り、収益を最大化するための「経営参謀」としての役割を果たしています。
具体的な業務は、大きく分けて「入居者対応」と「建物管理」の2つに分類されますが、その中身は非常に細かく、専門知識を要するものばかりです。例えば、毎月の家賃集金業務一つとっても、単に入金を確認するだけではありません。未納が発生した場合の初期対応、督促状の送付、保証会社への代位弁済請求、さらには法的措置の検討まで、一連の流れを迅速に行う必要があります。ここが遅れると、回収不能リスクが一気に高まるからです。
また、契約更新業務も重要な仕事です。賃貸借契約は通常2年ごとに更新を迎えますが、このタイミングで家賃の改定交渉が発生することもあります。周辺相場の変動を見極め、オーナー様の利益を守りつつ、入居者が退去しないギリギリのラインで交渉をまとめる。これには高度な相場観と交渉力が求められます。さらに、退去時の立ち会いと原状回復工事の手配、敷金精算業務も管理会社の腕の見せ所です。国土交通省のガイドラインに基づき、入居者とオーナー様の負担割合を適正に算出しなければ、後々大きなトラブルに発展しかねません。
ここがポイント
管理会社の業務は「家賃を集める」だけではありません。トラブル対応、法務手続き、修繕計画の立案など、経営の安定化に必要なあらゆる実務をカバーしています。
このように、管理会社の仕事は日常的な雑務から高度な法的判断を要するものまで幅広く、これらをオーナー様個人ですべてこなすのは、専業でない限りほぼ不可能と言ってよいでしょう。だからこそ、信頼できる管理会社に委託することが、賃貸経営成功への近道となるのです。
賃貸仲介会社と管理会社の違いを比較
これから不動産投資を始める方から最も多く受ける質問の一つが、「仲介会社と管理会社は何が違うのですか?」というものです。この違いを明確に理解していないと、いざという時に「誰に相談すればいいのか分からない」という事態に陥ってしまいます。結論から言えば、両者は「担当するフェーズ(時期)」と「収益モデル」が全く異なります。
まず賃貸仲介会社は、「入居者を決めるまで」が仕事です。駅前の不動産屋さんがこれに当たりますね。彼らのミッションは、SUUMOやHOMESなどのポータルサイトに物件情報を掲載し、お客様を案内して、賃貸借契約を締結することです。契約書にハンコをもらい、鍵を渡した時点で彼らの主な業務は終了します。収益源は、成約時に発生する「仲介手数料」という単発の売上です。つまり、彼らは「点」での関わりを持つ存在と言えます。
一方、賃貸管理会社は、「入居者が決まった後」からが仕事の本番です。入居中のクレーム対応、設備の故障修理、更新手続き、退去精算など、入居者が生活している間のすべてをサポートします。収益源は、毎月の家賃から数パーセントを受け取る「管理委託手数料」です。つまり、彼らはオーナー様と「線」で長く関わり続けるパートナーなのです。
| 項目 | 賃貸仲介会社 | 賃貸管理会社 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 入居者の募集・案内・契約締結 | 入居後の管理・運営・メンテナンス |
| 関わる期間 | 契約時のみ(一時的) | 契約期間中ずっと(長期的) |
| 収益源 | 仲介手数料(単発) | 管理委託手数料(継続) |
最近では、この両方の機能を持った「仲介管理会社」も増えています。自社で客付け(仲介)を行い、そのまま管理も引き受けるスタイルです。この形態のメリットは、入居審査の段階から管理目線でチェックできる点です。「この人は少しトラブルを起こしそうだな」という直感が働けば、審査でお断りすることで、将来の管理リスクを未然に防ぐことができます。これから依頼先を探す場合は、仲介と管理の両方に強い会社を選ぶのが、空室対策としても賢い選択だと言えるでしょう。
入居者管理と建物管理の具体的な中身
管理業務をさらに解像度を上げて見ていくと、「ソフト面の管理(入居者管理)」と「ハード面の管理(建物管理)」の2つに大別されます。これらは車の両輪のようなもので、どちらか一方でも欠けると賃貸経営はうまく回りません。
まず「入居者管理(ソフト面)」についてですが、これは対人業務のすべてを指します。私が特に重要だと感じているのは、「入居者クレームへの初期対応」です。例えば「上の階の足音がうるさい」「ゴミ出しのルールが守られていない」といった相談は日常茶飯事です。これを放置すると、優良な入居者が嫌気を差して退去してしまい、結果的に空室率が上がってしまいます。管理会社は、掲示板への注意喚起や、当事者への電話連絡などを通じて、感情的な対立を生まないように慎重に問題を解決します。また、家賃滞納への対応もここに含まれます。滞納は時間が経つほど回収が困難になるため、1日でも遅れたら即座に連絡を入れるスピード感が求められます。
次に「建物管理(ハード面)」です。これは物理的な資産価値を維持するための業務です。最も基本的なのが日常清掃です。エントランスや廊下にゴミが落ちていないか、電球が切れていないか、植栽が伸び放題になっていないかをチェックし、定期的に清掃員を派遣します。物件の内見に来た人が最初に目にするのは共用部ですから、ここの管理状態は入居率に直結します。
宅建士のメモ
「エントランスのチラシ入れが溢れている物件」は要注意です。管理会社の巡回頻度が低いか、清掃が行き届いていない証拠であり、入居者の質も低下しやすい傾向にあります。
さらに、長期的な視点での「修繕計画」も建物管理の重要な仕事です。外壁塗装や屋上防水は10年〜15年に一度必ず必要になりますが、これには数百万円単位の費用がかかります。優秀な管理会社であれば、「あと3年後には大規模修繕が必要になるので、今のうちから資金をプールしておきましょう」といった提案をしてくれます。このように、日々の細かなメンテナンスと将来を見据えた修繕計画の両方を実行することで、物件の寿命を延ばし、資産価値の低下を防ぐことができるのです。
一般管理とサブリース契約の仕組みと特徴
賃貸管理を委託する際、契約形態には大きく分けて「一般管理契約(管理委託)」と「サブリース契約(一括借り上げ)」の2種類があります。これらはリスクとリターンのバランスが全く異なるため、ご自身の経営スタンスに合わせて慎重に選ぶ必要があります。
一般管理契約は、最もスタンダードな形態です。オーナー様は管理会社に業務を委託し、その対価として家賃の5%程度(相場)の手数料を支払います。この契約の最大のメリットは、収益性が高いことです。空室が発生した場合は家賃が入ってきませんが、満室であれば手数料を引いた残りがすべて手元に残ります。また、礼金や更新料もオーナー様の収入となります。入居者の選定権や家賃設定の決定権もオーナー様にあるため、ご自身で積極的に経営に関与したい方に向いています。
一方、サブリース契約は、管理会社が物件をまるごと借り上げ、それを入居者に転貸する仕組みです。オーナー様には、空室の有無にかかわらず、毎月一定の保証賃料(満室想定家賃の80%〜90%程度)が支払われます。メリットは言うまでもなく、空室リスクと滞納リスクからの解放です。毎月の収入が固定されるため、銀行返済の計画が立てやすく、精神的な安定感は抜群です。
サブリースの注意点
「30年一括借り上げ」という言葉を鵜呑みにしてはいけません。契約書には必ず「家賃の見直し」条項があり、数年ごとに保証賃料が減額される可能性があります。また、オーナー側からの解約には正当事由が必要で、簡単には契約を解除できないケースが多発しています。
私が実務で相談を受けるトラブルの中で、サブリースに関するものは非常に多いです。「契約当初の家賃がずっと保証されると思っていたのに、5年後に大幅な減額を迫られた」「断ったら契約解除をちらつかされた」といったケースです。サブリースは確かに安心感のある仕組みですが、手数料として実質10%〜20%が引かれるため収益性は低くなります。また、入居者の選定や修繕業者の指定ができないなど、経営の自由度はかなり制限されます。「とにかく手間をかけたくない」「相続税対策が主目的で、多少収益が減っても安定をとりたい」という方以外は、一般管理契約からスタートすることをおすすめします。
自主管理の限界と管理委託のメリット

「管理手数料がもったいないから、自分で管理しよう」と考えるオーナー様もいらっしゃいます。いわゆる「自主管理」です。確かに、管理会社に支払う月々のコスト(家賃の5%程度)を削減できれば、手取りのキャッシュフローは増えます。物件が自宅の隣にあり、数部屋程度のアパートで、オーナー様ご自身がリタイアされていて時間に余裕がある場合などは、自主管理でも十分に回る可能性があります。
しかし、本業をお持ちのサラリーマン大家さんや、遠方の物件を所有されている方にとって、自主管理は現実的ではありません。その最大の理由は、「トラブルはいつ発生するか分からない」からです。例えば、真夜中に「上の階から水漏れしている!」と連絡があった場合、すぐに現地に駆けつけて対応できるでしょうか?あるいは、家賃を何ヶ月も滞納している入居者の部屋に、何度も督促に行けるでしょうか?これらを全て自分で行うのは、精神的にも肉体的にも相当な負担となります。
また、法的なリスク管理も大きな壁となります。退去時の敷金精算において、ガイドラインを無視して高額な請求をしてしまい、入居者から訴訟を起こされるケースも少なくありません。契約書の作成や更新手続きにおいても、最新の法改正に対応していなければ、知らず知らずのうちに不利な契約を結んでしまう可能性もあります。
管理委託の最大のメリットは、こうした「時間と手間の削減」と「リスクヘッジ」にあります。プロに任せることで、オーナー様は煩わしい雑務から解放され、空いた時間を次の物件探しのための調査や、本業、プライベートの時間に充てることができます。手数料は「安心料」であり、かつ「自分の時間を買うための経費」だと割り切ることも、投資家として重要な考え方です。長い目で見れば、プロの管理によって物件の状態を良く保つことが、結果として高い入居率と資産価値の維持につながるのです。
賃貸住宅管理業法による法規制と登録制度
かつて、賃貸管理業には特別な免許や登録が必要なく、誰でも明日から「管理会社」を名乗ることができました。そのため、預かった家賃を使い込んだり、強引な勧誘を行ったりする悪質な業者が後を絶たず、社会問題となっていました。こうした状況を改善するために、2021年に本格施行されたのが「賃貸住宅管理業法」です。
この法律により、管理戸数が200戸以上の賃貸管理業者は、国土交通大臣への「登録」が義務付けられました。登録を受けた業者は、以下のような厳しいルールを守る義務が課せられます。
- 業務管理者の配置:営業所ごとに、管理業務の知識と経験を持つ「業務管理者」(主に賃貸不動産経営管理士など)を置かなければなりません。
- 財産の分別管理:オーナー様から預かった家賃や敷金を、自社の運転資金とは明確に分けて管理することが義務化されました。これにより、万が一管理会社が倒産しても、オーナー様の資産が守られる可能性が高まります。
- 定期報告:管理業務の実施状況について、定期的にオーナー様に報告書を提出することが義務付けられました。
また、サブリース業者に対してはさらに厳しい規制が設けられました。「誇大広告の禁止」や「不当な勧誘行為の禁止」が明文化され、家賃保証のリスク(将来的に減額される可能性があることなど)を契約前に重要事項説明書として書面で交付し、説明することが義務となりました。
これから管理会社を選ぶ際は、この「国土交通大臣の登録を受けているか」が一つの信頼のバロメーターになります。登録業者は国土交通省のホームページで検索可能です。法律に基づいた適正な運営をしている会社を選ぶことで、オーナー様の大切な資産を守ることにつながります。逆に言えば、一定規模があるにもかかわらず未登録の業者は、コンプライアンス意識が低い可能性があるため注意が必要です。
賃貸管理会社とは?選び方や変更手順を宅建士が解説
管理会社に丸投げできるのが理想ですが、残念ながらすべての会社が優秀であるとは限りません。ここからは、私の経験に基づいた「失敗しない管理会社の選び方」や、どうしても改善が見られない場合の「変更手順」について、実践的なアドバイスをお伝えします。
失敗しない優良な賃貸管理会社の選び方

「大手だから安心」「家から近いから」という理由だけで管理会社を選んでいませんか?確かに大手にはシステム化された安心感があり、地場業者には地域密着の強みがありますが、それだけで判断するのは危険です。私が考える優良な管理会社の条件は、「レスポンスの速さ」と「提案力」の2点に集約されます。
まずレスポンスについてですが、オーナー様への連絡が遅い会社は、入居者への対応も遅い傾向にあります。問い合わせメールを送ってから返信に3日もかかるような会社では、水漏れなどの緊急時に頼りになりません。担当者とスムーズに連絡が取れるか、携帯電話ですぐにつながるかといった基本的なコミュニケーション能力は、契約前に必ず確認すべきポイントです。
次に提案力です。ただ言われたことをやるだけでなく、「この設備を導入すれば家賃を3,000円上げられます」「今の時期は広告料を少し積んででも早期客付けを優先しましょう」といった、経営視点での提案をしてくれる会社が理想的です。特に空室が続いたときに、具体的な改善策を持ってきてくれる担当者は非常に心強いパートナーとなります。
チェックポイント
実際にその会社が管理している物件を見に行きましょう。共用部の清掃状況や掲示板の管理状態を見れば、その会社の管理レベルが一目瞭然です。現場は嘘をつきません。
また、集客力(仲介力)の強さも重要です。管理が完璧でも、入居者を連れてくる力がなければ空室は埋まりません。SUUMOなどのポータルサイトに掲載されている写真がきれいか、物件のアピールポイントがしっかり書かれているかを確認してください。写真が暗かったり、情報が少なかったりする会社は、集客に対する熱意が低いと判断できます。
管理委託手数料の相場と費用の内訳
管理会社を選ぶ際、やはり気になるのがコストでしょう。一般的な管理委託手数料の相場は、家賃総額の5%前後(税別)です。例えば、家賃10万円の部屋であれば、毎月5,000円が手数料として差し引かれます。地域や物件の規模によっては3%程度の場合もありますし、シェアハウスなどの手がかかる物件では10%近くになることもあります。
ここで注意が必要なのは、「5%の中に何が含まれているか」です。会社によってサービス内容は千差万別です。「5%と聞いて契約したが、清掃費は別料金だった」「更新事務手数料として家賃の1ヶ月分を請求された」といったケースは珍しくありません。一般的に、5%の手数料に含まれるのは「家賃集金」「滞納督促」「入居者窓口」「クレーム対応」などの事務管理費であり、建物の清掃費(巡回清掃費)や設備点検費は別途実費が必要になることがほとんどです。
| 費目 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 管理委託手数料 | 家賃の3%〜7% | 毎月のランニングコスト。空室時は0円の契約が多い。 |
| システム利用料 | 月額数百円〜 | 送金明細のWEB化などに伴う費用として請求される場合がある。 |
| 定期清掃費 | 月額5,000円〜 | 物件規模や頻度による。管理料とは別見積もりが一般的。 |
| 更新事務手数料 | 更新料の50%〜 | 契約更新時に管理会社が受け取る報酬。オーナー手取りが減る要因。 |
一見すると手数料が「3%」と安い会社でも、更新事務手数料や広告料(AD)、リフォームの手配料などが割高に設定されている場合があり、トータルの支出では「5%」の会社より高くなることもあります。目先の管理料率だけで判断せず、年間の総支出をシミュレーションして比較することが大切です。
入居率や退去率の実績を確認するポイント
管理会社の実力を測る最も客観的な指標が、「入居率」と「平均入居期間(または退去率)」です。多くの管理会社はホームページで「入居率98%!」などと謳っていますが、この数字を鵜呑みにしてはいけません。数字の定義が会社によって異なるからです。
例えば、分母を「全管理物件」とするのか、「募集中の物件」とするのか、あるいは「免責期間を除いた物件」とするのかで、数字は大きく変わります。また、年間を通じた平均値なのか、繁忙期(3月など)の一時点での数字なのかも確認が必要です。私がおすすめするのは、面談時に「私の物件があるこのエリアでの、御社の平均入居率はどのくらいですか?」と具体的に聞くことです。エリア特化の実績があれば、より信頼性が高いと言えます。
そして、意外と見落とされがちなのが「平均入居期間」です。これは入居者満足度のバロメーターです。入居率が高くても、1年未満での短期解約が多い会社は要注意です。入居付けは得意でも、入居後の対応が悪いためにすぐに入居者が出て行ってしまっている可能性があるからです。短期解約が続くと、その都度クリーニング費用や広告料がかかり、オーナー様の収益を圧迫します。平均入居期間が長く、一度入ったら長く住んでくれる物件作りができている管理会社こそ、真に優秀なパートナーだと言えます。
管理会社の変更手順とスムーズな引き継ぎ
「今の管理会社の対応が悪く、空室も埋まらない…」そんな悩みをお持ちなら、管理会社の変更(リプレイス)を検討すべきです。管理会社を変えることは決して悪いことではありません。しかし、手順を間違えると旧管理会社と揉めたり、預かり金の引き継ぎがうまくいかなかったりするリスクがあります。
管理会社変更の基本的なステップは以下の通りです。
- 新しい管理会社の選定・内定:先に解約を告げてはいけません。必ず次の委託先を決めてから動きます。
- 現管理会社への解約通知:現在の管理委託契約書を確認し、解約予告期間(通常は3ヶ月前)を守って書面で通知します。「解約通知書」を内容証明郵便で送ると確実です。
- 引き継ぎ業務の開始:新旧の管理会社間で、鍵、契約書類、敷金などの預り金、入居者情報の引き継ぎを行ってもらいます。
- 入居者への通知:「○月○日から管理会社が変わります。家賃の振込先はこちらになります」という案内文を全入居者に配布します。
最も重要な注意点
家賃保証会社を利用している場合、管理会社変更に伴って保証契約が切れてしまうケースがあります。新しい管理会社がその保証会社と提携しているか、あるいは再契約が可能か、事前に必ず確認してください。ここを確認し忘れると、管理会社を変えた途端にすべての部屋が「保証なし」の状態になり、リスクが跳ね上がります。
解約を申し出ると、旧管理会社から「手数料を下げるので考え直してほしい」と引き止められることもありますが、対応の悪さが原因であれば、安易に応じるべきではありません。強い意志を持って、ビジネスライクに進めることが重要です。また、入居者にとっては振込先が変わるなどの手間が発生するため、丁寧な説明とフォローが必要です。新しい管理会社が入居者通知の作成や配布をしっかりサポートしてくれるかも確認しておきましょう。
管理会社と連絡が取れない時のトラブル対応
ごく稀にですが、「管理会社と連絡がつかない」「家賃が振り込まれないまま担当者が行方不明になった」という深刻なトラブルが発生することがあります。特に経営基盤の弱い小規模な管理会社で起こりうるリスクです。もし家賃の入金が遅れ、電話しても繋がらない場合は、倒産や夜逃げの可能性があります。
こうした緊急事態に陥った場合、まずは落ち着いて事実確認を行います。店舗に行ってみる、ホームページを確認するなどの手段をとります。そして、直ちに入居者に対して「家賃の振込を一時停止してください」あるいは「オーナーである私に直接振り込んでください」という通知を送る必要があります。これを怠ると、入居者は倒産した管理会社の口座に家賃を振り込み続け、そのお金が回収不能になる恐れがあるからです。
また、業務怠慢や不当な対応については、監督官庁や業界団体への相談が有効です。
- 国土交通省の各地方整備局:管理業法違反の疑いがある場合の通報窓口となります。
- 公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会(日管協):多くの管理会社が加盟している業界団体で、相談窓口を設けています。
- 宅地建物取引業保証協会:仲介業務も行っている会社の場合、ここ苦情を申し立てることで解決する場合もあります。
管理会社はオーナー様の財産を預かる立場です。少しでも「おかしいな」と感じたら、放置せずに早めに行動を起こすことが被害を最小限に食い止める鍵となります。
まとめ:賃貸管理会社とは経営のパートナー
最後までお読みいただき、ありがとうございます。今回は「賃貸管理会社とは」をテーマに、その役割から選び方、実務の詳細まで解説してきました。
賃貸管理会社とは、単なる「雑用係」ではありません。あなたの不動産という大切な資産を守り、育て、収益を生み出し続けるための「ビジネスパートナー」です。優秀な管理会社と出会えれば、賃貸経営は驚くほどスムーズに、そして安定したものになります。逆に、選び方を間違えれば、ストレスと損失を抱え込むことになりかねません。
管理委託手数料はコストですが、それは「プロのノウハウ」と「自分の自由な時間」を得るための投資でもあります。ぜひ、今回ご紹介した選び方のポイントや注意点を参考に、あなたにとって最良のパートナーを見つけてください。もし現在の管理体制に不安がある場合は、セカンドオピニオンとして他の管理会社の話を聞いてみるのも一つの手です。行動を起こすことが、より良い賃貸経営への第一歩となります。
最後に一言
不動産投資は「買って終わり」ではなく「買ってからが始まり」です。信頼できる管理会社とともに、長期安定経営を目指していきましょう。