家賃保証会社の借主負担はおかしい?理由と代替案を徹底解説

家賃保証会社の借主負担はおかしい?理由と代替案を徹底解説

賃貸物件を借りるとき、ほとんど必ずと言っていいほど求められる「家賃保証会社」の利用。ところが、その保証料を借主が負担しなければならないことに対して、「なぜ借りる側が払うの?」「費用が高すぎて納得できない」と疑問や不満を抱く人は少なくありません。

さらに、「保証会社の利用を強制するのは違法じゃないのか?」「滞納したら厳しい取り立てを受けるのでは?」といった不安もつきまといます。できれば保証会社に入りたくない、保証料を払わずに契約したい──そう考える人もいるでしょう。

本記事では、そんな疑問や不安に徹底的に答えます。保証料が借主負担になる仕組みや相場、保証会社を使わずに契約する方法、審査の厳しい会社と通りやすい会社の違いまで、実際によくある質問を交えながらわかりやすく解説。あなたの「これっておかしい?」という気持ちに寄り添い、納得できる選択肢を見つけるヒントをお届けします。

この記事で解決できること

  • 家賃保証会社の費用を借主が負担する理由と仕組み
  • 保証料の具体的な相場と料金体系
  • 保証会社を利用せずに賃貸契約を結ぶための具体的な方法
  • 審査が厳しい保証会社と比較的通りやすい保証会社の種類
目次

家賃保証会社の借主負担がおかしいと感じる仕組み

  • 賃貸の保証会社は意味不明?その役割とは
  • 賃貸の保証会社は高すぎる?料金の相場
  • 保証会社から家賃が返ってくることはない
  • 保証会社の利用が必須なのは違法ではない
  • 家賃保証会社の取り立ては違法になる?

賃貸の保証会社は意味不明?その役割とは

賃貸の保証会社は意味不明?その役割とは

賃貸契約時に求められる保証会社の役割は、貸主(大家さん)のリスクを軽減しつつ、借主の入居手続きを円滑にすることにあります。このように言うと、貸主のためだけの制度に聞こえるかもしれませんが、借主にもメリットが存在します。

貸主側のメリット

貸主にとって最大のメリットは、家賃滞納リスクの回避です。入居者が何らかの事情で家賃を支払えなくなった場合でも、保証会社が立て替えて支払うため、安定した賃貸経営が可能になります。また、滞納が発生した際の督促業務も保証会社が代行するため、手間や精神的な負担が軽減される点も大きな利点です。

借主側のメリット

一方、借主にとっては、連帯保証人を見つける手間が省けることが最大のメリットと考えられます。親族が高齢であったり、頼れる親戚が遠方に住んでいたりする場合でも、保証会社を利用することで物件を借りやすくなります。さらに、収入が不安定と見なされがちなフリーランスや非正規雇用の方でも、保証会社の審査を通過すれば入居の可能性が広がります。

このように、保証会社は貸主の安心材料であると同時に、借主が希望の物件に入居するための橋渡し役も担っているのです。

賃貸の保証会社は高すぎる?料金の相場

保証料が高いと感じるかどうかは個人差がありますが、料金には一定の相場が存在します。保証料は、契約時に支払う「初回保証料」と、入居後に定期的に支払う「更新保証料」または「月額保証料」に大別されます。

初回保証料

契約時に支払う初回保証料の相場は、家賃や管理費を含んだ「月額総賃料」の**30%から100%(1ヶ月分程度)**が一般的です。例えば、総賃料が10万円の物件であれば、3万円から10万円が必要になります。また、最低保証料として3万円程度が設定されている場合もあります。

更新保証料・月額保証料

入居後の支払い方法は、主に2つのパターンに分かれます。 1つは、1年または2年ごとに1万円から2万円程度の「更新保証料」を支払うプランです。もう1つは、初回保証料が安く設定されている代わりに、毎月の家賃と一緒に総賃料の1%~3%程度の「月額保証料」を支払うプランです。

以下に、総賃料10万円の物件で2年間居住した場合の料金シミュレーションを示します。

料金プラン初回保証料2年間の支払総額(目安)
更新プランA (初回50%, 更新料1万円/年)50,000円70,000円 (5万 + 1万×2年)
更新プランB (初回100%, 更新料1万円/2年)100,000円110,000円 (10万 + 1万)
月額プラン (初回2万円, 月額2%)20,000円68,000円 (2万 + 2千円×24ヶ月)

どのプランがお得かは居住期間によって変動するため、契約前に料金体系をしっかりと確認することが大切です。

保証会社から家賃が返ってくることはない

保証会社から家賃が返ってくることはない

支払った保証料は、原則として返金されないと認識しておく必要があります。これは、保証料が家賃滞納がなかった場合に返還される「預り金(敷金など)」とは性質が異なり、保証サービスを受けるための「利用手数料」や「保険料」にあたるからです。

サービスの対価として支払う費用のため、契約期間中に一度も家賃を滞納しなかったとしても、満期を迎えて退去する際に返金されることはありません。また、契約期間の途中で解約した場合でも、残りの期間分の保証料が月割りや日割りで返金されるケースはほとんどないのが実情です。

ただし、ごく稀な例外として、賃貸借契約が成立しなかった場合や、入居する前に契約をキャンセルした場合には、保証サービスが開始されていないため、支払った保証料が返還される可能性があります。もしそのような状況になった場合は、速やかに不動産会社へ相談することが求められます。

保証会社の利用が必須なのは違法ではない

保証会社の利用が必須なのは違法ではない

「保証会社の利用が必須」という条件は、法的に何ら問題なく、違法ではありません。これは、貸主が自身の財産を守るために設ける「入居のための条件」の一つだからです。

賃貸借契約は、貸主と借主双方の合意に基づいて成立します。貸主が「保証会社への加入」を物件を貸し出す上での必須条件として提示している場合、借主はそれを承諾しない限り、契約を結ぶことはできません。これは、例えば「ペット不可」や「楽器演奏不可」といった他の契約条件と同様の位置づけになります。

特に2020年4月の民法改正により、個人の連帯保証人が負う責任の上限額(極度額)を契約書に明記することが義務付けられました。これにより、連帯保証人になる心理的なハードルが上がり、貸主側はより確実な家賃回収が見込める保証会社の利用を必須とする流れが一段と加速しています。

家賃保証会社の取り立ては違法になる?

家賃保証会社の取り立ては違法になる?

家賃を滞納してしまった場合、保証会社から支払いに関する連絡が入ります。この督促行為自体は正当な業務ですが、その方法が社会通念を逸脱した過度なものになると、違法と判断される可能性があります。

違法と見なされる可能性のある行為

過去には、一部の業者による行き過ぎた取り立てが社会問題となりました。以下のような行為は、違法性を問われることがあります。

  • 深夜や早朝といった非常識な時間帯の電話や訪問
  • 勤務先への執拗な連絡や、滞納の事実を第三者に伝える行為
  • 玄関ドアに滞納の事実を記載した張り紙をするなどの名誉毀損にあたる行為
  • 法的な手続きを経ずに、無断で鍵を交換したり、室内の家財を運び出したりする「追い出し行為」

特に、無断で鍵を交換するなどの実力行使は、最高裁判所の判例でも違法とされており、損害賠償の対象となり得ます。

健全化の動き

現在では、国土交通省による「家賃債務保証業者登録制度」が設けられるなど、業界全体の健全化が進んでいます。登録業者は法令遵守が求められるため、悪質行為は減少していると言えます。万が一、不適切な取り立てを受けた場合は、消費生活センターや弁護士などの専門機関に相談することが有効です。


家賃保証会社の借主負担はおかしい?代替案と選び方

  • 家賃保証会社に入りたくない場合の選択肢
  • 家賃保証料を払いたくないのですがどうしたらいいですか?
  • 家賃保証会社がいらない物件の探し方
  • 家賃保証会社のランキングと特徴
  • 一番厳しい保証会社はどこですか?
  • 家賃保証会社のよくある質問
  • 家賃保証会社の借主負担はおかしい?総まとめ

家賃保証会社に入りたくない場合の選択肢

家賃保証会社に入りたくない場合の選択肢

家賃保証会社の利用に抵抗がある場合、いくつかの選択肢を検討することが可能です。保証会社の利用を避けたい方は、これらの方法を試す価値があります。

連帯保証人のみで契約する

最も一般的な代替案は、連帯保証人を立てて契約することです。親族など、安定した収入のある方に連帯保証人になってもらうことで、保証会社の利用が免除される物件があります。ただし、物件によっては保証会社の利用が必須とされているため、この方法が通用しないケースも多いのが現状です。

公的賃貸住宅(UR賃貸など)を選ぶ

独立行政法人都市再生機構(UR)が管理するUR賃貸住宅は、礼金・仲介手数料・更新料が不要であることに加え、保証会社や連帯保証人も原則として不要です。ただし、入居には一定の収入基準などを満たす必要があります。

特定の不動産会社の管理物件を探す

一部のハウスメーカーや不動産管理会社では、独自の入居システムを採用しており、保証会社が不要な場合があります。例えば、大和ハウスグループの「D-room」など、特定のブランド物件に絞って探してみるのも一つの手です。

これらの選択肢には、それぞれメリットとデメリットがあります。例えば、UR賃貸は初期費用を抑えられますが、希望のエリアに物件がなかったり、収入基準が厳しかったりします。自身の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが鍵となります。

家賃保証料を払いたくないのですがどうしたらいいですか?

家賃保証料を払いたくないのですがどうしたらいいですか?

保証料の支払いを避けたい場合、最も直接的な方法は「保証会社の利用が不要な物件を選ぶ」ことですが、気に入った物件が保証会社必須だった場合には、交渉を試みるという手段も考えられます。

交渉の成功率は決して高くありませんが、試してみる価値はあります。ポイントは、貸主側の「家賃滞納リスク」という懸念を、あなたが別の形で払拭できるかどうかにかかっています。

貸主や管理会社へ直接交渉する

例えば、以下のような提案が考えられます。

  • 信頼性の高い連帯保証人を立てる: 公務員や上場企業に長年勤務している親族など、支払い能力が非常に高いと客観的に判断できる連帯保証人を立てることで、交渉の余地が生まれる場合があります。
  • 敷金を上乗せする: 通常の敷金に加えて、家賃1~2ヶ月分を上乗せして預け入れることを提案し、万が一の滞納時の担保とする方法です。
  • 家賃を前払いする: 2年分の家賃を一括で前払いするなど、貸主の滞納リスクを完全になくす提案ができれば、交渉が成功する可能性は高まります。

ただし、これらの交渉は、空室期間が長い物件や、不動産の閑散期(夏場など)の方が応じてもらいやすい傾向にあります。

家賃保証会社がいらない物件の探し方

家賃保証会社がいらない物件の探し方

保証会社の利用が不要な物件を見つけるには、探し方に少し工夫が必要です。ただ闇雲に探すのではなく、効率的な方法でアプローチすることが大切になります。

不動産ポータルサイトでの絞り込み検索

多くの不動産情報サイトには、物件のこだわり条件として「保証人不要」という項目があります。しかし、これは「保証会社を利用するため保証人が不要」という意味で使われることが大半です。

狙うべきは、「保証会社不要」というキーワードでフリーワード検索をかけるか、物件詳細の備考欄に「連帯保証人必須」といった記載がある物件です。根気強く探す必要がありますが、見つかる可能性はあります。

UR賃貸住宅の公式サイトで探す

前述の通り、UR賃貸住宅は保証会社が不要です。希望のエリアが決まっている場合は、まずURの公式サイト「UR賃貸住宅」で物件の有無を確認するのが最も確実で早い方法です。

不動産会社に直接相談する

最も効率的なのは、不動産会社の担当者に「保証会社を利用したくない」という希望を明確に伝えることです。担当者は、個別の物件の条件を熟知しているため、条件に合う物件を提案してくれる可能性があります。また、大家さんと直接つながりのある地元の不動産会社であれば、条件交渉に応じてくれる物件を見つけてくれるかもしれません。

家賃保証会社のランキングと特徴

家賃保証会社は、その審査基準によって大きく3つの系統に分類されます。どの会社を利用するかは物件ごとに指定されているため選べませんが、系統ごとの特徴を知っておくことは、審査への備えとして有効です。

系統審査の厳しさ主な審査項目代表的な会社
信販系厳しい・個人信用情報(CIC/JICC)
・クレジットカードやローンの履歴
・年収、勤務先
オリコフォレントインシュア、アプラス、エポスカード、SBIギャランティ
LICC系やや厳しい・LICC加盟会社間での家賃滞納情報
・年収、勤務先
全保連、ジェイリース、エルズサポート
独立系比較的緩やか・独自の審査基準
・年収、勤務先(他社との情報共有は限定的)
フォーシーズ、日本セーフティー、Casa(カーサ)、日本賃貸保証(JID)

各系統の特徴

  • 信販系: クレジットカード会社やその関連会社が運営しており、審査は最も厳しいです。過去5年以内にクレジットカードやローンの延滞があると、審査通過は困難になります。
  • LICC系: 全国賃貸保証業協会(LICC)に加盟する会社間で、家賃の滞納情報を共有しています。過去にLICC系の保証会社で滞納歴があると審査に影響します。
  • 独立系: 独自の基準で審査を行うため、審査は比較的緩やかです。過去に金融トラブルがあった方や、収入に不安がある方でも通過できる可能性があります。

一番厳しい保証会社はどこですか?

一般的に、最も審査が厳しいと言われるのは「信販系」の保証会社です。その中でも、株式会社オリコフォレントインシュアやSBIギャランティ株式会社などは、特に審査基準が厳しいことで知られています。

信販系の保証会社が厳しい理由は、個人の信用情報を専門機関(CICやJICC)に照会して審査を行うからです。信用情報には、クレジットカードの支払い履歴、キャッシングやローンの利用・返済状況などが全て記録されています。

そのため、以下のような履歴がある場合、審査に通過するのは非常に難しくなります。

  • クレジットカードの支払いを2~3ヶ月以上延滞したことがある
  • 携帯電話の本体代金を分割払いで購入し、支払いを延滞したことがある
  • 消費者金融からの借入やカードローンの返済が遅れたことがある
  • 過去に自己破産などの債務整理をしたことがある

これらの情報は一定期間(約5年間)記録として残るため、現在の収入が安定していても、過去の金融トラブルが原因で審査に落ちてしまう可能性があります。信販系の保証会社が指定されている物件に申し込む際は、自身の信用情報に問題がないか、事前に確認しておくことが望ましいです。

家賃保証会社のよくある質問

ここでは、家賃保証会社に関して多くの人が抱く、その他の細かな疑問についてお答えします。

Q1. 保証会社の審査にはどのくらいの時間がかかりますか?

A1. 一般的には、申込書類を提出してから3営業日以内に結果が出ることが多いです。早い場合は即日、書類に不備があったり、確認事項が多かったりする場合は1週間程度かかることもあります。

Q2. 契約後は毎年更新が必要ですか?

A2. 多くの保証会社では、1年または2年ごとの契約更新が必要です。その際には、1万円から2万円程度の更新保証料が発生します。契約プランによっては更新が不要な場合もありますが、その分、初回の保証料が高めに設定されている傾向があります。

Q3. 家賃を滞納したら、すぐにブラックリストに載りますか?

A3. 「ブラックリスト」というリストが実在するわけではありませんが、信販系の保証会社を利用していて滞納すると、その事実が信用情報機関に記録され、将来のローンやクレジットカードの審査に影響が出ます。LICC系の保証会社の場合は、加盟会社間で滞納情報が共有されます。いずれの場合も、記録は完済後も約5年間残ることが一般的です。

Q4. 保証会社に立て替えてもらった家賃は、いつまでに返済する必要がありますか?

A4. 保証会社が家賃を立て替えた後、速やかに保証会社から請求が来ます。支払期日は会社によって異なりますが、滞納した家賃に加えて、遅延損害金や手数料が上乗せされる場合がほとんどです。放置すると法的措置に移行する可能性もあるため、支払いが難しい場合はすぐに保証会社へ相談することが不可欠です。

家賃保証会社の借主負担はおかしい?総まとめ

  • 家賃保証会社の費用を借主が負担するのは、貸主のリスク回避と借主の入居しやすさという双方の目的があるため
  • 保証料の相場は初回に総賃料の30%~100%、更新時に年1万円程度が一般的
  • 支払った保証料はサービス利用料であり、原則として返金されない
  • 保証会社の利用必須は入居条件の一つであり、違法ではない
  • 深夜の訪問や無断での鍵交換など、過度な取り立ては違法となる可能性がある
  • 保証会社に入りたくない場合は、連帯保証人で契約できる物件を探すのが基本
  • UR賃貸住宅は保証会社も連帯保証人も原則不要
  • 貸主への交渉で保証料の支払いを回避できる可能性はゼロではない
  • 保証会社不要の物件は、不動産サイトのフリーワード検索や不動産会社への相談で見つける
  • 保証会社は「信販系」「LICC系」「独立系」の3種類に大別される
  • 信販系は信用情報を確認するため審査が最も厳しい
  • 独立系は独自の基準で審査するため比較的緩やか
  • 過去に金融トラブルがある場合、信販系の保証会社が指定された物件は避けるべき
  • 保証会社の利用は、連帯保証人を頼めない人にとっては便利な制度でもある
  • 契約前には保証料の料金体系や契約内容を十分に確認することが大切
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