
こんにちは。賃貸トラブル解決ナビ、運営者の熊坂です。
賃貸物件にお住まいで車の購入や引っ越しを検討されている方にとって、避けては通れないのが車庫証明の手続きです。初めての経験で、具体的に何から始めればいいのか、警察署にはいつ行けばいいのかと不安に感じている方も多いのではないでしょうか。特に賃貸の場合は、持ち家とは違って大家さんや管理会社さんとのやり取りが必要になるため、承諾書の手数料や書類の書き方で戸惑うケースが後を絶ちません。実はポイントさえ押さえておけば、行政書士などの専門家に依頼せずとも、自分自身でスムーズに、しかも費用を抑えて取得することが十分に可能です。
- 賃貸ならではの車庫証明申請の流れと必要書類の書き方
- 大家さんや管理会社への承諾書依頼と手数料の相場
- 高額な手数料を回避するための交渉術や契約書代用の条件
- 駐車場探しから警察署への提出までに注意すべきトラブル回避策
賃貸での車庫証明の取り方と必要書類
賃貸住宅にお住まいの方が車庫証明をご自身で取得する場合、持ち家の方とは異なる手順や書類が必要になります。ここでは、警察署での基本的な申請フローから、最も躓きやすい配置図の作成、そして賃貸特有の「承諾書」の準備に至るまで、実務に即した具体的なノウハウを解説します。
警察署での申請手続きの流れ

車庫証明(正式名称:自動車保管場所証明)の手続きは、実は申請書類を書く前の「事前準備」から始まっています。全体像を把握せずにいきなり警察署へ行っても、書類不備で出直しになってしまうことが多いからです。私が普段、お客様にアドバイスしている標準的なタイムラインは以下の通りです。
まず、車検証(または購入予定車のスペック表)を手元に用意し、駐車場の現物確認を行います。その後、必要書類を入手し、作成してから警察署へ提出、後日受け取りという流れになります。
手続きを行う場所は、現在のお住まい(使用の本拠)の管轄署ではなく、「駐車場の所在地」を管轄する警察署である点に注意してください。例えば、自宅はA警察署の管轄でも、借りている駐車場が隣町であれば、B警察署へ行く必要があります。
具体的なステップは以下のようになります。
申請の5ステップ
- 書類入手: 管轄の警察署の窓口で複写式の用紙をもらうか、県警のホームページからダウンロードします。
- 承諾書依頼: 管理会社や大家さんに連絡し、「保管場所使用承諾証明書」への署名・捺印を依頼します(ここが賃貸の最重要ポイントです)。
- 書類作成・提出: 全ての書類を記入し、平日の受付時間内(概ね8:30〜17:00頃)に警察署の交通課窓口へ提出します。この際、申請手数料として2,000円〜2,200円程度の証紙代がかかります。
- 審査期間: 提出から交付までは、土日祝を除いて「中2日〜3日」程度かかります。即日交付はされませんので、余裕を持ったスケジュールが必要です。
- 交付・受取: 指定された交付日以降に再度警察署へ行き、標章交付手数料(500円程度)を支払って証明書とステッカーを受け取ります。
特に注意したいのは、警察署の受付時間です。お昼休み(12:00〜13:00)は窓口を閉めている署もありますので、事前に電話で確認することをおすすめします。「せっかく有給を取って行ったのに、お昼休みで1時間待たされた」という失敗談は意外と多いものです。
申請書と配置図の書き方のコツ

書類作成で最もハードルが高く感じるのが「所在図・配置図」の作成ではないでしょうか。しかし、ここにはプロも使っている時短テクニックがあります。それは、Googleマップを活用することです。
まず、メインとなる「自動車保管場所証明申請書」についてですが、これは車検証を見ながら正確に転記する作業です。「車名」は「プリウス」などの通称名ではなく、「トヨタ」「ニッサン」といったメーカー名を書きます。型式や車台番号は、アルファベットの「O(オー)」と数字の「0(ゼロ)」など、判別しにくい文字に注意して一文字一句間違えずに記入しましょう。令和3年以降、申請者の押印は廃止されましたが、記入ミスがあると訂正が必要になるため、念のため認印を持参しておくと安心です。
次に、難関とされる「所在図・配置図」です。これは左側に場所を特定する「所在図」、右側に駐車場の詳細を描く「配置図」を書く欄があります。
【裏技】所在図は手書きしなくてOK! 所在図の欄には「別紙参照」と書き、インターネットの地図(Googleマップなど)を印刷したものを添付することが認められています。自宅と駐車場を直線で結び、定規で測った距離を赤ペンなどで書き込んでおけば完璧です。
一方、「配置図」については、ある程度詳細な手書き(または定規を使った作図)が求められます。ここで絶対に外してはいけないポイントは以下の3点です。
- 前面道路の幅員: 駐車場に接している道路の幅を記載します。
- 出入り口の幅員: 敷地への入り口の幅を記載します。
- 駐車スペースの寸法: 自分が停める枠の縦・横の長さをメートル単位で記載します。
特にマンションやアパートの駐車場の場合、自分の枠がどこなのか特定できるように、番号(「No.5」など)を明記し、隣接する枠との関係性がわかるように書いてください。高さ制限がある屋根付き車庫や機械式駐車場の場は、高さの記載も必須です。ここが曖昧だと、現地調査に来た警察官が確認できず、電話がかかってきたり審査が遅れたりする原因になります。
大家への承諾書依頼と署名

持ち家の場合は自分の土地なので「自認書」という書類を自分で書けば済みますが、賃貸の場合は他人の土地を借りているため、土地の所有者に「ここで車庫証明を取ってもいいですよ」という許可をもらう必要があります。これが「保管場所使用承諾証明書」です。
この書類は、原則として物件のオーナー(大家さん)か、委託を受けている管理会社に記入・捺印してもらう必要があります。勝手に自分で大家さんの名前を書いたり、ハンコを押したりすると「有印私文書偽造」という犯罪になってしまいますので、絶対にやめましょう。
依頼の流れとしては、まず管理会社(または大家さん)に電話をし、「車庫証明を取りたいので、承諾書の発行をお願いします」と伝えます。その後、管理会社の店舗へ出向いて受け取るか、郵送でやり取りするのが一般的です。大手管理会社の場合、専用のWebフォームから申請するシステムを導入しているところもあります。
注意:発行には時間がかかることがあります 「明日納車だから今日中に欲しい!」と急かしても、管理会社側の決裁や事務処理で数日から1週間程度かかるケースが少なくありません。車の購入が決まったら、すぐに依頼するようにしましょう。
また、この承諾書には「使用期間」を記載する欄があります。ここは駐車場の契約期間とリンクしている必要があります。例えば、駐車場の契約が来月で切れるのに、承諾書の使用期間が1年以上あるというのは矛盾するため、警察署で指摘される可能性があります。契約更新の時期と重なる場合は、先に賃貸契約の更新手続きを済ませてから承諾書を依頼するのがスムーズです。
取得にかかる費用と手数料

「車庫証明を取るのにいくらかかるの?」という疑問に対し、コストの内訳を明確にしておきましょう。費用は大きく分けて「法定費用(警察署へ支払うもの)」と「発行手数料(管理会社へ支払うもの)」の2つがあります。
まず、法定費用です。これはご自身で申請する場合でも、ディーラーや行政書士に代行を頼む場合でも必ず発生する実費です。都道府県によって数十円〜百円程度の差はありますが、概ね以下の通りです。
| 項目 | 金額目安 | 支払いのタイミング |
|---|---|---|
| 自動車保管場所証明書交付申請手数料 | 2,000円 〜 2,200円 | 申請時に収入証紙または現金で支払い |
| 保管場所標章交付手数料 | 500円 〜 600円 | 後日、交付時に支払い |
| 合計 | 約2,500円 〜 2,800円 | – |
次に、賃貸特有のコストである「承諾書発行手数料」です。これは管理会社や不動産会社によって設定金額が異なります。良心的なところでは「無料〜3,000円」程度ですが、一般的には2,000円〜5,000円が相場と言えるでしょう。
もし、これらを全てディーラーなどの業者に丸投げした場合、上記の費用に加えて「代行手数料」として10,000円〜20,000円程度が上乗せされます。つまり、自分で警察署へ行き手続きをすることで、この代行手数料分(約1〜2万円)を節約できるわけです。平日に時間が取れる方であれば、時給換算で考えても非常にコストパフォーマンスの良い「節約術」と言えるでしょう。
自分で申請する場合の注意点

コスト削減のために自分で申請を行うことは推奨されますが、いくつか落とし穴もあります。私がこれまでの経験で見てきた「失敗パターン」を共有しますので、同じ轍を踏まないようにしてください。
一つ目は、「4枚複写の筆圧」です。警察署で配布される用紙はカーボン複写式になっています。1枚目に書いた文字が4枚目までしっかりと写っていないと、窓口で「読めないので書き直してください」と言われてしまいます。特にボールペンは黒色の油性を使用し、強めの筆圧で書くことを意識してください。最近はPCで入力できるExcelファイルを公開している県警もありますので、字に自信がない方はそちらを利用してプリントアウトするのも賢い方法です。
二つ目は、「OSS(ワンストップサービス)申請のハードルの高さ」です。政府は電子申請を推進していますが、正直に申し上げて、一般の個人の方が賃貸物件でOSS申請をするのはおすすめしません。マイナンバーカードやICカードリーダーが必要なだけでなく、大家さんからの承諾書をスキャナで読み込んで特定の形式で添付するなど、技術的な手間が非常に大きいからです。現状では、紙の書類を持って窓口へ行くアナログな方法が、結果として最も確実で早いケースがほとんどです。
ここをチェック!提出前の最終確認
- 住所の番地やアパート名・部屋番号は住民票と完全に一致していますか?
- 「使用の本拠の位置」と「保管場所の位置」は正しい住所で書き分けていますか?(「同上」は不可の場合が多いです)
- 申請書類の日付は、警察署に行く当日の日付になっていますか?(空欄にしておき、窓口で書くのが無難です)
トラブルを防ぐ賃貸の車庫証明の取り方
ここからは、実務的な手続き論を超えて、賃貸ならではの「困った!」を解決するための深掘り情報をお届けします。住所変更のタイミングや、理不尽に感じるほど高い手数料への対抗策など、知っておくと損をしない情報をまとめました。
引っ越し時の住所変更タイミング

引っ越しと同時に車庫証明を取得する場合、「いつ住民票を移して、いつ警察に行けばいいの?」というパズルに悩まされることがあります。法律上、住所変更があった場合は15日以内に変更登録(車検証の書き換え)を行う義務があります。
理想的なスケジュールは以下の通りです。
- 新居の賃貸契約と駐車場の契約を結ぶ。
- 引っ越しを行い、市役所で転入届を出す(住民票を移す)。
- 新しい住民票(または免許証の裏書き変更後)を持って、警察署へ車庫証明を申請する。
- 車庫証明が交付されたら、陸運局へ行き車検証の住所変更を行う。
ここで問題になるのが、「駐車場の契約開始日」です。例えば、4月1日から入居予定で、3月20日に手続きをしたい場合、承諾書の契約期間が「4月1日から」となっていると、3月中に申請しても「まだ保管場所として使えない」と判断されるリスクがあります。
しかし、多くの警察署では事情を考慮し、申請自体は3月中でも受け付け、交付日を「契約開始日以降(4月1日以降)」に設定することで対応してくれるケースがあります。これを活用すれば、入居直後に警察署へ証明書を取りに行くだけで済み、スムーズな運用が可能です。ただし、これは管轄署の運用によるため、事前に「契約開始前の申請は可能か?」と電話で確認しておくことを強くおすすめします。
管理会社の手数料が高い時の対処

「承諾書1枚書いてもらうだけで1万円請求された!」。これは賃貸トラブル解決ナビの相談フォームにも頻繁に寄せられる不満の一つです。法的に上限が決まっていないため、管理会社や大家さんは言い値で設定できるのが現状です。「事務手数料」として契約時に説明があれば、基本的には支払わざるをえません。
しかし、諦める前に試してみる価値のある交渉や対処法があります。
まずは、「自分で記入済みの書類を持ち込む」ことです。管理会社の手間を最小限にするため、承諾書の各項目(住所、氏名、期間など)を全て自分で記入し、「あとはそちらのハンコを押すだけの状態にしました」と伝えてみましょう。これにより、「事務手続きの手間が省けるなら」と、手数料を減額してくれる担当者も稀にいます。
それでも「規定ですから」と高額請求される場合、次に検討すべきは、後述する「賃貸借契約書の写しによる代用」です。「警察の方から、契約書で代用できると言われたのですが…」と(事実であれば)伝えることで、無用な出費を回避できる可能性があります。ただ、これを行うと管理会社との関係が少しギクシャクするリスクもゼロではありませんので、今後の居住関係も考慮した上で慎重に判断してください。
賃貸契約書で代用できる条件

実は、警察庁の通達により、特定の条件を満たした「駐車場の賃貸借契約書」のコピーがあれば、わざわざ承諾書(保管場所使用承諾証明書)を提出しなくても車庫証明が取れるようになっています。これは高額な手数料を回避する最大の切り札となります。
ただし、どんな契約書でも良いわけではありません。警察署が認める契約書には、以下の要件が必須となります。
代用可能な契約書の5大条件
- 署名・捺印: 貸主と借主、双方の署名(または記名)と捺印があること。
- 保管場所の特定: 駐車場の住所だけでなく、区画番号まで明記されていること。
- 契約期間: 申請日が契約期間内であり、かつ車庫証明取得後も1ヶ月以上の期間が残っていること。
- 当事者の同一性: 契約者名と車庫証明の申請者が同一人物であること。
- 車両の非限定: 「特定の車両に限る」といった記述がなく、車両を入れ替えても有効であると読み取れること。
注意点としては、契約書に「車庫証明取得には別途承諾書の発行が必要」といった特約事項が書かれている場合です。この場合、契約書での代用は認められず、正規の手続き(手数料を支払って承諾書をもらう)を求められることが一般的です。また、管轄の警察署によって「契約書のみでOK」というところと、「補足資料が必要」というところなど、運用に温度差があります。必ず申請に行く前に、契約書を手元に用意して警察署の担当者に確認を取りましょう。
駐車場までの距離は2km以内

車庫証明取得の大原則にして、絶対に変えられないルールが「自宅(使用の本拠)から直線距離で2キロメートル以内」という規定です。「いい駐車場が見つかったけど、2.1km離れている」という場合、残念ながらいかに交渉しても許可は下りません。
ここで重要なのは「直線距離」という点です。実際に車で走る道のり(走行距離)ではありません。地図上で自宅を中心とした半径2kmの円を描き、その中に駐車場が入っていればOKです。逆に言えば、道のりが3kmあっても、直線で2km以内なら認められます。
測定方法として、現在はGoogleマップの距離測定機能(右クリックで「距離を測定」を選択)が非常に便利です。警察署でも同様のデジタル地図システムを使って厳密に審査しています。もしギリギリの場合は、自己判断せずに警察署に事前相談に行きましょう。「この場所で許可が下りるか」を事前に確認することで、契約してから「車庫証明が取れない!」という最悪の事態を防ぐことができます。
車のサイズと駐車場の確認方法

「入ると思っていたのに入らなかった」というトラブルも後を絶ちません。特に機械式駐車場のあるマンションや、古いアパートの駐車場では注意が必要です。車庫証明の審査では、車の長さ・幅・高さが駐車枠内に完全に収まっていることが求められます。
カタログ数値だけでなく、以下のポイントを現地でメジャーを使って実測してください。
- ドアの開閉: 枠内に収まっても、隣の車や壁との距離が近すぎてドアが開けられないと、実質的に使用できません。
- トランクの開閉: 後ろが壁の場合、リアゲートを開けるスペースがあるか。
- 前面道路の幅: 駐車枠が広くても、前の道路が狭いと、何度も切り返しが必要になり、入庫困難と判断されることがあります。
注意:タイヤ止めとオーバーハング タイヤ止めまで下がっても、車の先端(フロントオーバーハング)が敷地からはみ出して公道に出る場合、車庫証明は却下されます。また、これは道路交通法上の駐車違反にもなる重大な問題です。
軽自動車の届出が必要な地域
軽自動車の場合、「車庫証明」ではなく「保管場所届出」という名称になり、手続きのルールが普通車とは少し異なります。最大の違いは、「地域によって必要か不要かが分かれる」という点です。
一般的に、県庁所在地や人口10万人以上の市、東京や大阪の中心部から30km圏内の市などが「届出義務適用地域」に指定されています。逆に、人口の少ない町村部では不要なケースが多いです。ご自身のお住まいの地域が対象かどうかは、全国軽自動車協会連合会のWebサイトや管轄警察署のホームページで必ず確認してください。
また、提出のタイミングも異なります。普通車はナンバー登録の「前」に証明が必要ですが、軽自動車はナンバー登録をして納車された「後」に、速やかに(原則15日以内)届け出ればOKです。これを忘れて放置していると、10万円以下の罰金対象となりますので、「軽だから大丈夫」と油断せずに手続きを行いましょう。
賃貸の車庫証明の取り方総まとめ
ここまで、賃貸住宅における車庫証明の取得方法について解説してきました。一見複雑に見える手続きですが、要点を整理すれば決して難しいものではありません。
最後に、成功のためのロードマップをおさらいしましょう。
- 物件探しの段階で、車のサイズが入るか(高さや幅)を実測確認する。
- 賃貸契約時に、承諾書の手数料について確認しておく。
- 警察署へ行く前に、必要書類(特に承諾書)を早めに手配する。
- 所在図・配置図はGoogleマップを活用して効率的に作成する。
- 平日の日中に警察署へ行き、申請と受取を行う(自分でやれば1〜2万円の節約!)。
自分で手続きを行うことは、費用の節約になるだけでなく、自分の住む地域の警察署の場所を知ったり、道路交通法への意識を高めたりする良い機会でもあります。この記事が、皆さんのスムーズな車庫証明取得と、安心安全なカーライフの一助となれば幸いです。もし手続きの中で不明点があれば、管轄の警察署窓口は意外と親切に教えてくれますので、恐れずに相談してみてくださいね。
※本記事の情報は執筆時点の一般的な実務に基づいています。地域や警察署の運用方針により詳細が異なる場合がありますので、最終的な判断は必ず管轄の警察署へご確認ください。